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[社説]総選挙後に押し寄せる韓国経済の難題、備えているのか

登録:2024-02-15 01:35 修正:2024-02-15 06:55
韓国不動産院によると、昨年12月の全国のマンションの平均伝貰価率(売買価格と比較した伝貰保証金の比率)は66.8%で、昨年2月(66.9%)より後の10カ月で最高を記録した。12日、ソウル鍾路区のある不動産屋に不動産情報が貼り出されている/聯合ニュース

 企画財政部、韓国開発研究院(KDI)、韓国銀行はいずれも、韓国の今年の成長率は2%を少し上回るだろうと予想している。しかし、半導体を中心とした輸出の増加で成長率が昨年(暫定値1.4%)より少々上がったとしても、民間消費の増加が鈍化しているため、体感景気はそれほど良くはならないとの見通しが強い。そのような中、政府が4月の総選挙後に解決を先送りした韓国経済の危険要素が、総選挙後に一気に爆発する可能性が高まっている。

 不動産プロジェクトファイナンス(PF)の貸付保証の損失で流動性の危機に見舞われたテヨン建設は、1月12日のワークアウト開始決定によって、第2次金融債権者協議会が開かれる4月11日まで債務返済が猶予された。総選挙の翌日だ。テヨン建設のワークアウト開始決定で不動産PF貸付の不良債権問題はひとまず水面下に沈んだが、総選挙後に構造調整が本格化する可能性は高い。韓国開発研究院は14日に発表した経済見通し修正報告書で「不良建設会社の構造調整が金融システム危機として展開される可能性は低いだろうが、今後は関連部門で信用の梗塞が発生するうえ、実物景気にとっての否定的要因として作用する可能性は排除できない」と診断した。

 高金利が続いている中、4月から7月にかけて中小企業への貸付の満期も一気にめぐってくる。ハンギョレが5大銀行の中小企業に対する貸付の現状を調査したところ、今年の満期到来額204兆ウォン(約23兆円)の40%(82兆ウォン、約9兆2600億円)が4~7月に集中している。中小企業の延滞率は、すでに家計に対する貸付よりはるかに高い。総選挙後、銀行が満期延長に厳しい基準を用いる可能性は高い。生存の可能性がある企業は生かす構造調整策が必要だ。

 引き上げが抑制されている電気料金、延長が続いている油類税の引き下げ、6月まで全面禁止されている空売りも、総選挙後に解決しなければならない課題だ。今年の税収予想額が少ないため政府支出を極度に抑制したにもかかわらず、管理財政収支の赤字率は3.9%にのぼる。にもかかわらず、政府が年初から数々の減税を断行しているため、総選挙後の財政運用には赤信号がともる可能性が高い。財政余力の不足は景気予想が外れた際の対応を難しくする。政府は2022年末の「レゴランド問題」、昨年には政策金融を動員して住宅購入をあおり家計負債を大きく増加させるなど、市場の扱いに稚拙さを見せている。今はまた、後のことは考えずに総選挙用のばらまき公約を連発することばかりに没頭している。このような有様では、今後迫ってくる事態にきちんと対応できるのか心配せざるを得ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1128365.html韓国語原文入力:2024-02-14 18:05
訳D.K

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